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PMのキャロラインさんに書いて頂いた小説【それはまるで、巡り合わせのように】のお返しに書いたものです。
 
 
【リーブルフォートにて】
 
港に程近いメインストリートでは数多くの露天が並び、売り手と買い手が大声でやりとりをしている。
まるで最近船を受け入れ始めた新しい港町かの様に。
いや、ある意味それは合っているのかもしれない。
 
ここはリーブルフォート。
黒の霧が晴れた事によって20年振りに交易に賑わいを見せる港街。
そう。イブラシル大陸に渡った冒険者が訪れる最初の街だ。
  
 
そんな賑わいを見せるリーブルフォートに二人連れの姿が見えた。
一方は中途半端な長さの金髪に着崩した魔導法衣を羽織る10代半ば程の少年。
「今回は街入りですね。買い物も冒険の内ですし、張り切っていきましょうっ!」
もう一方は流れる黒髪に帽子を被り、眼鏡をかけたやはり10代半ば程の少女。
「張り切ってるねライカ。でもどうして?港街ならあっちの大陸にもあったじゃない。」
ライカとキャロルだった。

無事パーティメンバーが集まり、エレミア平原にて初の戦闘を終わらせた彼等は、早速イブラシル大陸へ乗り込む事にした。
パーティの誰かが転送ポータルに居れば構わない為、街入りをするのは少人数が冒険者の基本。パーティもそれに則り二人がリーブルフォートへ入る事になったのだった。

「だってここはイブラシル大陸ですよエインズ……きゃ、キャロライン……さん。」
最初きらきらと輝いていたライカの顔は途端に赤く染まっていく。未だにキャロルを名前で呼ぶ事になれていないのだった。
だがキャロルはそんなライカをわざとらしく半眼で睨むと言う。
「あーあ……まださん付けかぁ……。」
「う、うう……っ。で、でもですねっ!」
ライカは今度は顔を青くして長々と言い訳を始めた。
その様子を不機嫌そうに見ていたキャロルだったが、しばらくするとくすくすと笑い出した。
「うそうそ。ごめん。今はそれで良いよ。キミがそういう人だって言うのはなんとなく分かってきたから。でも、その内慣れてきたら『さん』外して?」
「す、すいません。ありがとうございますキャロライン……さん。」



しばらく歩いていると冒険者向けの露天が並んでいる区間に出た。
見ればアストローナ大陸から渡ってきたと思われる冒険者と思しき人々が思い思いに売買をしている様だった。
「あ、キャロラインさんキャロラインさん!あそこの露天で色々売買できそうですよ。」
道端にある1つの露天を見たライカはキャロルの手を引いてそっちへ歩いていく。どうやら全く意識しては居ない様だ。
しばらく店主と話していたライカだったが勢いよく振り返ると言った。
「銅貨が本当なら300sの所なんと400sで買い取って貰えるそうです。しかもティンリングが今なら400sだそうですよ。これは…お徳ですね。」
そういうライカが指し示すリングを見たキャロルはすぐに気付いた。あれは……カッパーリングだ。

―――ライカはふと、急に寒気を感じた。まるで周囲の気温が急に数度下がった様だった。
どうやらその原因は自分の近くにある様に感じ、ライカはキャロルを振り返りその表情を見た。
いや、見た様な気がしただけだったのかもしれない。光を反射する眼鏡によってその瞳は隠されていたから。
「……ライカ?キミは何をしてるのかな?」
「きゃ、キャロラインさん……?」

キャロライン・エインズレイ。
彼女はアストローナ大陸に店を構える有力な商家の出の娘である。



夕暮れが街並みに影を落とす頃。
買い物も終わり、今日の宿に向かう道。
並んであるくキャロルにライカは何かを思い出したかの様に言う。
「見つけましょうね、薬草を。必ず。」
「……え?でもそれはボクの目的で……。」
「折角一緒に旅をするのによそよそしいですよ。」
そう言ってキャロルの方を向き微笑みを浮かべるライカ。それはキャロルがライカに向けていった言葉だった。
「キャロラインさんの目的はパーティメンバーの僕の目的でもあります。修行なんて何処ででも出来ますからね。」
「むー……。ボクがなにか言っても聞いてくれそうにないねライカ。」
「ご名答です、よ。」
キャロルは少しの間微笑み続けるライカを見つめていたが、やがて苦笑して言った。
「やっぱり、キミと居ると楽しそうだね。」
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